上原善広著
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2015年
目次
・路地
日本人と牛肉食
失われた食文化「ヒシ」
犬猫料理、他
・アイヌ料理
東京のアイヌ料理店
屈斜路湖の丸木舟
アイヌ料理のフルコース、他
・北方少数民族の料理
「オロチョンラーメン」考
ニブフとウィルタ
北海道での北方少数民族、他
・沖縄の島々
神々の住む島
イラブーを捕る
ソテツ味噌の作り方、他
・焼肉ー在日と路地
韓国人とホルモン
日韓の牛肉食
ホルモンと「放るもん」、他
タイトルからして読むのに抵抗ある人がいるかもしれない。「被差別」というデリケートな言葉を使った挑戦的(?)なタイトルだが特にこれは云々言わんとこう。
今も土地土地によって名物というものがある。これはその土地の特産品、古くから食べられていたもの、または独特の料理法によって作られたものである。それを土地の人は旨いと言うが、他国の人によっては全く旨くないゲロ以下の味がするだろう。しかしそんな事はどうでもいい、故郷の味と言えば誰にどう言われようと愛してやまないものだ。
路地とは建物の間の狭い道ではなく被差別部落の隠語である。そこではアブラカスと呼ばれる牛の腸のカリカリ揚げやサイボシという馬肉の燻製など独自の食文化があった。しかしこれらを食べない人達からは怪訝され、妻の出生がばれて離婚なんて話もあったという。
今では食についてはあんまりとやかく言わない。個々で好きな物を食べるのは自由であり、食べるものによって人を嫌うというのは、よっぽど食育がなされていない人間だろう。(ま、猿肉や猫肉が好物で、動物園ではヨダレが止まらんなんて人がいたらさすがに距離を置くがね笑)
人間が食べる物というのは国や地域を超えて尊重するべきものである。たとえそれが少数民族のマズそうなゲテ物でも、それによって大きくなった子供や、懐かしいと哀愁漂わせる大人がいたらそれは最高の食事なのである。
値段が高いものは旨いと思ってる現代のアホに捧げる一冊。それにしても食文化史は奥深いね~。旅行行きたいンゴ(ー ー;)